2017年12月11日月曜日

平成29年12月6日



こんにちは。
今年も残すところ一月を切りました。陽だまり農園の野菜ボックスに1年間お付き合いいただいたお客様、今年に入ってから陽だまり農園のことを知りお野菜をご購入くださったお客様、この野菜ボックスが初めてというお客様、皆様に心より感謝申し上げます。陽だまり農園は今年もどうにかこうにか年を越すことができそうです。
というのも、農業はやはり自然相手の職業ですので、種をまいたからといって必ずしも作物が育ち収穫までこぎ着けられるとは限りません。ですから、作物を収穫できる喜びはもちろん、そのお野菜たちをお客様に食べていただける喜びはひとしおです。食べてくださる方がいるから、私が野菜を育てることも意味を成します。6年前に好奇心で始めた農業も、食べてくださる方へ美味しさと喜びを届けたいがためのものとなりました。あまり良いことばかり書くと怪しまれそうなので、この辺で。
遅れ気味でまいた絹さやの種が発芽しました。まいてすぐに初霜にあったため発芽が懸念されていましたが、毎日のように土をほじって種を観察していると、しっかりと芽が動き出し、地中へは根が伸びだしていました。これからの冬場は食べ物を失った鳥たちに狙われやすいため、ネットをかけたり、紐を張ったりし、小さな芽が鳥から狙われるのを防ぎます。

畑に出ていると「どうしてそうなったの?」という面白い野菜たちで出会うこともあります。
写真左、皆さんもよくご存じの人参です。二股になっているものや、ねじれているものはよく目にしますが、ここまで綺麗に、しかも何回転にわたってねじれているものは今までにも見たことがありません。野菜の規格としてはB品にもなりませんが、ここまで美しいねじれは、もはやトリプルS級です
写真右、こちらも馴染み深い白菜です。これのどこが面白いのかというと、隣り合う別々の葉っぱの葉先同士が繋がっています。これも初めて見ました。最初見た時は目を疑いました。思わず「どうしてそうなったの?」と。葉っぱが生え始めた時から二枚がくっついて生えてきたのでしょうが、ハウスの中でもないのに雨風によく耐えたなと感心してしまいました。
こういう偶然は探してもなかなか見つかりませんが、それこそ偶然見つけた時の驚きと喜びは、例え売り物にならない野菜であっても愛でてしまうほどです。スーパーには並ばないであろう野菜たちの様々な姿を見ることができるのも畑仕事の魅力の一つです。

2017年12月1日金曜日

平成29年11月22日


こんにちは。
匝瑳市でも初霜が降り、今年もまた冬がやってきたのだなと長いようで早かった一年を振り返ったりします。うっかりしていた私は2017年ももう11月下旬であることに気が付きます。あと一月もすれば年末の慌ただしさにさらされなくてはいけないのかと憂鬱な気分になります。さらに、年末までに済ませておかねばならぬ畑仕事のことを思うと、猫の手も借りたい気持ちになります。残念ながら我が家の猫は手を貸してくれるほど厚情ではありませんが、膝の上に乗せ優しく撫でてやり嬉しそうに喉を鳴らしている姿で私たちに喜びを与えてくれます。もしかすると年末の慌ただしさの中では、彼の愛くるしさが最も大きな役割を果たしてくれるのかもしれませんね。


ニンニク
玉ねぎ









キャベツ








カリフラワー
ブロッコリー














さて、11月の2,3週目の週末を使って春野菜の植え付け、里芋・サツマイモの堀上作業をしました。親戚や友人知人たちが手伝いに来てくれたのをいいことに、ここぞとばかりに人手のかかる作業をお願いし片づけていきます。一人でやっていては果てしない作業も3人4人と集まれば何のその。あれよあれよと言う間に片付いていきます。しかし、人の助けにばかり甘んじることなく、現状家族労働の範疇で最低でも現状のレベルの農業を継続的に成り立たせていく算段を立てていかなくてはいけません。これは今までも課題であり、これからもついて回ってくる課題であるように思います。

 
写真は紅菜苔(こうさいたい)という紫色の菜花(茹でると緑色になります。)の苗です。同じ匝瑳市で父親の代から40年以上有機農業を営まれている大先輩農家さん、熱田農園の熱田さんから頂いたものです。私よりも11歳年上なのですが小柄で童顔なせいもあるのか、どことなく親しみやすく、若干癖は強いものの、よく酒飲みにも誘ってくださり色々と面倒みてもらっています。
それで、その酒飲みの席での話なのですが…

熱田「太田君、紅菜苔作ってる?」
太田「いいえ、作っていません。」
熱田「えぇ!?なんで作らないの?美味しいしお客さんからも喜ばれるよ。少量多品目農業やってる農家で紅菜苔作らない人に初めて会ったわ!」
太田「だって、せっかく綺麗な紫色してるくせに茹でると緑色になってしまって、結局食べるときは緑色じゃないですか。だったら最初から普通の緑色の菜花でいいじゃないですか。」

というやりとりを知り合ってかれこれ6年、毎年この時期になると決まってするわけです。6年目にしてついに痺れをきらしたのか、「苗が余ったからやるよ」とわざわざ家まで届けてくださいました。偏屈なところもある大先輩ですが、こういう優しい一面が彼の魅力であり憎めないところなのでしょう。
“人の助けばかりに甘んじることなく”と先ほど書きましたが、苗を持ってきてくれた大先輩に対して…

太田「わざわざすみません。こんなにたくさんの良い苗ありがとうございます。」
熱田「いいよ。どうせ余った苗だし。(照れくさそうに)
太田「苗いただけると助かります。来年もお願いしていいですか?()
熱田「おい、ふざけんなよ()来年は自分で作れよ!()

また来年のこの時期も全く同じやりとりを繰り返しているような気がしてなりません。


2017年11月10日金曜日

平成29年11月8日



こんにちは。
おかげさまで野菜たちは台風の被害から随分持ち直しました。台風以降もなかなか天候に恵まれないものの、晴れの日が数日続けば葉は生き生きと光合成を行い、すくすくと成長してくれます。しかしながら、農業を始めて以降これまでにも記録的日照不足というものは経験してきましたが、今年はその中でも特に厳しい年であるというのを自分の畑だけでなく、他所の農家さんの畑からも見てとれます。 


写真は私の畑ではなく、私の借りている畑の隣の畑で葉物を中心に農業を営まれている農家さんの畑です。ここの畑には一面ほうれん草が植えてありましたが、今年の天候不順により葉が黄色く変色してしまい全く成長しなくなってしまったのでトラクターで潰してしまいました。また、この農家さんの別の畑でもやはり台風の影響により発芽したばかりのホウレンソウがほぼ全滅してしまっていました。この農家さんは葉物が専門で、私の何倍も作るのが上手な農家さんなのですが、そんな方ですら今年はほうれん草に苦戦しているところを見ると、やはり今年の天候は厳しいということが見受けられるわけであります。こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、正直なところ葉物のプロである隣の農家さんがほうれん草を失敗して内心ホッとしたと言いますか、「どうりでうちのホウレンソウも全くよく出来ない訳だ」と納得してしまいます。
 




写真はうちのホウレンソウなのですが、やはり隣の畑のホウレンソウ同様、本葉1枚目あたりが黄色くなってきています。今の段階では最終的に商品になるのかならないのかの判断はちょっと難しい状態ですので、せっかくここまで大きくなったことだし、また、このホウレンソウは低温伸張性(低温期でも成長する性質)のある品種ですので、このまま真冬まで粘ってみることにします。






今年のホウレンソウのように思い通りにいかず、頭を抱えることもありますが、それ以上にこの天候不良にも関わらず、私の想像を 遥かに超えて素晴らしいパフォーマンスを披露してくれている水菜、小松菜、山東菜、その他の葉物たち。
悪いことがあってもそれ以上に嬉しいことがあれば嬉しい気持ちになれる。
悪いことが続いてなかなか良いことがないとしても、どんな些細なことでも感謝できる心があれば、優しい気持ちでいられるのだなと。



平成29年10月25日



こんにちは。
いやぁ、困りました。2週間近くの長雨の末の台風だなんて、なんて年でしょう。台風21号の被害は想像していたほどは大きくなかったものの、やはりあれだけの風に吹かれると野菜も少なからずダメージを受けますね。(匝瑳市は瞬間的に強く雨は降っても、トータル的にはそれほどの降水量ではありませんでした。)
 


冬収穫予定のジャガイモの葉がグチャグチャにされ葉先は枯れ始めています。関東のジャガイモがなくなる冬から春先にかけて出荷できるこのジャガイモは、作るのは難しいがとても重宝し、来年の種芋としても使えるという一石二鳥なジャガイモなのです。長雨にも耐えすくすくと育っていたので残念でなりません。寒い時期に向かうこの作柄はスピード感が大事で、ちょっとのアクシデントや栽培スピードの失速さえも命取りになります。ただでさえ長雨で失速していたところに台風とは…なんて年でしょう。




他にも酷い影響を受けたのは長ネギと葉物たちでした。ネギの葉っぱは折られ、葉っぱのみならず地際からぽっきり折られているものもあります。土を盛って真っすぐ立たせ、あとは野菜の生命力にかけるしかありません。
葉物は風に煽られ擦れて葉先がシワシワに。ネギや人参などは葉っぱが傷んでも、最悪葉より下の部分を食せますが、葉っぱを食す葉物には痛手です。
農業だけに限った話ではありませんが、物事を何年もやっていればこのようなアクシデントは必ずつきものです。幸い私の営んでいる少量多品目の農業は、お米など年に一度しか作れない作物と違い、1品、2品被害を受けたとしてもそれ以外の野菜でどうにかカバーすることが出来ます。少量多品目が必ずしも良い訳ではありませんが、このようなリスクを分散する作業は、どんな経営体系であろうと必要となります。
時に私たちの想像を良くも悪くも越えてくる自然の力を試算するのは困難な作業であります。自然の猛威を目の前に人間ができることなんてたかが知れています。どんな状況に陥っても植物たちの力を信じて自然の力に寄り添う道が一番の近道であるように感じます。